[レポート] 10/8(日) 風の森学び舎・大地の再生講座

藤野プレーパークさんと合同企画、大地の再生ワークショップを開催しました。

お子さまたちに自然の中で遊ぶ場を提供していらっしゃり、

  • 自然な環境がより整った場所で遊べるようにしたい
  • 自然の中で遊ぶ=使うだけでなく、自然を労り、守り、育てて、遊ぶ意識づけをしていきたい

といった目的を実現するため、今回の講座開催となりました。

目次

風の草刈り

まずは風の草刈りで、沢と周囲の全体像を見えるようにしていきます。

風の草刈りは、草の根を活かすやり方。

根を育てるのがポイントで、空気と水が浸透するきっかけを作ります。

草刈り=根こそぎ抜く、地面ギリギリで刈るもの、と認識していた普段のやり方を一旦横に置いて、今日は「風に倣った草刈り」を意識的にやってみます。

スタッフさんによる風の草刈り
スタッフさんによる風の草刈りデモンストレーション

草の根が(地中への)水の入り口の役割をしているので、根こそぎ刈る草刈りは、空気や水が地中へ入る(浸透していく)ルートを塞いでしまうことになります。

この場所はこれからもたくさんの人たちに利用していただくので、より心地よい場所にするため、ここにいる草木に応援してもらうかたちを作っていければと思います。

草刈りを行なったのはここ一帯。

風の草刈りを行う前の状態
風の草刈りを行う前の状態

昔から小さな沢がありますが、薮で姿が見えません。

沢に沿って空気の通り道を作りつつ、風に揺れる部分を草刈鎌で刈っていきます。

風をイメージしながら風の草刈りの実践
風をイメージしながら風の草刈りを実践しました

薮の中にも入って、沢のかたちが見えるようにしました。

この藪を払ったらコンクリート三面張りが出てきました

風の草刈り後の状態です。

風の草刈りを行ったあと
風の草刈りを行ったあと

夏から秋の草刈りは、葉から根に栄養がいく時期なので、しっかり落とすことを意識。

力の加減がつかめず一部やり過ぎてしまったところもありますが、風が斜面を吹き抜けていく感じを参加者それぞれが体感していました。

沢の整備

続いての作業は、沢(というか、小川?)の整備です。

沢の周囲にできる水たまりに施主さんは頭を悩ませており…

この水たまりができるのは、地中への水の入り口が泥で詰まっているため。

この水の入り口を作るため、今回は沢に移植ゴテで点穴をあけていくことにしました。

移植ゴテを用いて沢に点穴を入れていきます
移植ゴテを用いて沢に点穴を入れていきます

移植ゴテの先を使って「突きながら、柔らかいところを掘っていく」ことがポイント。

人の目線でデザインせず、自然に聞く。

そこにある地形を見て、自然に倣って点穴を入れていくことを意識的に行いました。

また、隣の人と作業を「繋いで行くこと」で、風や水の流れが留まらず、入り口から出口まで通していくことができます。

参加者同士で作業を見ながら、点の集合を繋いでいきました。

自然の地形に倣って蛇行した脈ができました
自然の地形に倣って蛇行した脈ができました

草刈りと点穴による脈を作っていったところ…

周辺の水が沢の方に集まってきたので、下流に向けて移植ゴテで10~15cmの深さで蛇行させた水の通り道を作りました。

5cmくらいの深さで水が湧いてきました
5cmくらいの深さで水が湧いてきました

今後、雨が降った時の水の流れがどうなるのか?気になります。

掘り上げた土は周辺にまぶし、草でグランドカバーをし、周囲と自然な状態に溶け込むように仕上げます。

掘り上げた土の上にグランドカバー
掘り上げた土の上にグランドカバー

沢のまわりには、雨のたびに泥が沢に流れ落ちて、また沢を詰めてしまわないよう、土留めを作りました。

この場所にある枝木、笹を用いて土留めを作ります
この場所にある枝木、笹を用いて土留めを作ります

溝を掘り、笹を敷いた上に木を置いて、水と空気が通るように作ることがポイントです。

笹を敷いたことで泥止めの役割を担い、水を土中に浸透させていくようになります。

スタッフの土留め作りを見ているところ
スタッフの土留め作りを見ているところ

次に、斜面変換部の改善です。

斜面と平地の変換点のことを言いますが、この部分に以前は小川があったようです。

この斜面の下に小川があったとのこと
この斜面の下に小川があったとのこと

以前、台地の上部でオーバーハングが発生していており、それを埋めるために盛土を行って小川を埋めた経緯があるとのこと。

今は子どもたちが自然のすべり台として使ってますが、本来水の通り道=水脈であった部分を詰めてしまっているので、ここの改善に着手しました。

沢の水が溜まっていて全体的に湿気が強く、一部泥濘んでいる場所もあります。

ここに水脈という溝を掘ることで土中の空気が抜けるようになり、この溝を通して空気の出入りが生まれていきます。

お父さんたちが剣スコップで水脈を掘り上げ
お父さんたちが剣スコップで水脈を掘り上げ

これにより、場の状態が変わっていくきっかけが作れるとのこと。

また、斜面には移植ゴテで無数の切り込みと炭を入れ、水が斜面を走り落ちず、切り込みから土中に浸透していくきっかけを作りました。

斜面に移植ゴテで切り込みを入れていくのは、お母さんと子どもたち
斜面に移植ゴテで切り込みを入れていくのは、お母さんと子どもたち

点穴

沢の出口付近には大きめ、かつ深めの点穴をあけました。

水と空気が集まって分散する場所になっていますが、長年かけて土の重さにより土中が踏み固められ、グライ土壌になっていたため、ここに点穴をあけて土中に水が浸透するきっかけを作ります。

本来は重機で掘り起こしした方が土中深くを開くことができますが、

「人の手でも十分に縦に浸透するきっかけを作ることが可能(藤井さん)」

とのこと。

今回の点穴で土中の空気と水が動き出すので、少しずつ状態が改善していくと思われます。

また、広場にある中木の樹勢回復のための点穴も作りました。

ダブルスコップで50cm深さの点穴をあけていきました
ダブルスコップで50cm深さの点穴をあけていきました

点穴の機能として必要なこと=通気通水保水保気濾過耐圧を満たすよう、枝木や落ち葉などを組み入れていきました。

石も組み込んで自然なかたちに仕上げ
石も組み込んで自然なかたちに仕上げ

ランチ後は、みんなでイチジク狩りを楽しみました。

摘んで、食べて。摘んで、食べて。

様々な作業に取り組めた1日となりました。

2024年初めに、この場所で改めて大地の再生講座を開催予定です。

詳細が決まり次第、WEBやSNSでお知らせします。

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