佐野川のお茶畑と周辺環境を視察してきました

『風の森学び舎〜風と水の流れる森づくり』のフィールド候補地、佐野川のお茶畑を講師(大地の再生 関東甲信越 藤井麻紀子さん)と運営メンバーで視察してきました。

佐野川で『宮本茶園』を運営している宮本さんから「茶畑周辺の山林の環境整備をお願いできないか」とご相談をいただき、本日の視察に至りました。

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本日(2022年2月26日)、上岩地区と和田地区にあるお茶畑と周辺の山林状況を、宮本さんから丁寧かつ緻密にご説明をいただいたので、各地区の状況と、このフィールドでできそうなことを備忘録にしておきたいと思います。

目次

上岩地区

なだらかな傾斜に茶畑が広がっています。

宮本さんが数年前に譲り受けたときは放棄地のような状態になっていたところを、今の状態まで整えてこられたとのこと。

ここに至るまでの労力を考えると、とにかくすごいの一言です。

一部分だけ未整備の場所があり、高く伸びて藪のようになっていたり、猪に荒らされて枝も葉もなくなっています。

このエリアを、土壌環境の改善とお茶畑の再生をセットで行うことができそうですが、再生するまで数年はかかるため、再生できるまで活動を続けていくことが必須。

また、再生して終わりではなく、再生したあとも茶畑の維持・育成は必要なので、持続的な仕組み作りもテーマになってくるところです。

茶畑の上に位置している山の状況も見させていただきました。地主さんや宮本さんが間伐や草刈りを行って風通しはよくなっていますが、山の表面は乾燥し、下草がなく、雨が降るたびに表面の土が流れ落ちていってしまう状態。

歩くたびに乾いた土・小石が崩れていく感じで、 大雨が来たらいつ土砂崩れになってもおかしくないように感じました。

昔は炭焼きをされていたそうで、炭焼き窯が残っています。

間伐した木をこの窯で炭にして、雑炭は山の環境整備で使う。こんな循環が作れたらいいですね。

水の通り道になっているようで、祠がいくつもありました。

この祠は大きな樹に囲まれて置かれており、水々しさのあった当時はきっと立派だったと思われます。

茶畑の下から山を見上げたアングル。山に守られる(包まれる)ようにお茶畑があります。

山のサイズ感が「人の手作業で改善できる、ほどよい大きさ」にあり、山の通気浸透を改善することで、その効果が茶畑に波及してくることが期待できます。

きれいな山ときれいな茶畑。

こんな景色にできたら良いと思います。

和田地区

こちらは、急勾配です。

和田峠から陣馬山を目指すハイカーが多く通り過ぎる場所で、下から見上げた時の景色がよく『映えスポット』になっているようです。

上から見下ろした茶畑もとても綺麗です。

茶畑の上に行ってみると、ここも全体的に山の表面が乾いており、土が削げている感じ。

石が見えていたり、一部では落石も起きているようでした。

茶畑の作業の傍ら、山の方の草刈りも宮本さんが行ってきたようですが、人手が足りずに手入れが追いついていないとのこと。

昼間でも藪の中に鹿が来ているのが見えたりしているようです。

この藪を『風の草刈り』で風通りをよくしてあげて、上岩地区と同じように通気浸透を改善してあげると、山の表情がガラっと変わりそうな気がします。

『映えスポット』がますます映えたら、宮本さんも、茶畑を眺めるハイカーも、住んでいる人たちもより心地よくなるのではないでしょうか。

毎日この急勾配を上り下りされており、石を使った階段が作られていますが、経年により山の上部から流れてきた泥が覆ってしまっているところが部分的に見受けられました。

この通り道に土留めの階段を作ると、上から流れる水を受け止めて土中に浸透させることができ、 この水の循環が茶葉の成長に効いてくると思われます。

人の上り下りも容易に、安全性が高まりますし、この周辺にある枝木や石などの資材で、人の手で作れてしまう。

簡単にできて効果の高い作業のように思えました。

このフィールドでできそうなこと

今日の視察をしながら出てきたアイデアを、そのまま書き留めておきます。

あくまでアイデアなので、関係者間で調整を進めながら、実施できるものを選りすぐっていければと思います。

  • 火を焚ける場所のようなので、伐採した枝木や竹をその場で燃やして消し炭として活用可能。
  • 点穴を作って火を焚く、地面のお灸も可能。
  • 上岩には古民家(今は空き家で、大家さんが定期的に掃除して手入れされている)があり、その古民家の裏側にある山の斜面が手入れポイント。
    山の斜面の通気浸透が改善すると地面や木々が元気になり、土砂災害を防ぐことにつながる。そして、山の潤いが茶畑全体へ浸透していくはず。
  • 古民家を休憩や屋内作業、宿泊施設として活用できると、茶畑の作業に長期的に関われる人たちが集められるかも。
  • 古民家と周辺環境の活用方法をみんなで考えていくプロジェクトも、人が集まってくれるのではないか。
  • 放棄地になっているお茶畑は、土中の環境改善と有機的な農法を使って育ててみる。育て方の違いで茶畑がどのような変化、違いを出すのかを楽しんでみるとか。実験的な試みに興味を持ち参加してくる人のなかから、茶畑に関わる人が出てきてくれたら嬉しい。
  • 和田は、土留め階段の設置。
    上部の藪化した部分の風通しを改善し、通気浸透をよくする処置を山の斜面に施していく。
  • 和田の休憩所が使えそうなので、平らな休憩スペースが確保できそう。座学や屋内作業も活用できる。
    駐車スペースが狭いが、バスが走っているので電車組はバスが使えそう。

以上、今日の視察レポートでした。

これから関係者による調整を進め、具体的な計画へ落とし込んでいく予定です。

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