[レポート] 9/10(日) 風の森学び舎&親子でめぐるフォレストウォーク

9月の風森は、親子向けの山のフィールドワークと、いつもの里山環境整備(風と水の流れる森づくり)の2本立てで開催しました。

今回予定していた大地の再生の職人さんが体調不良で急遽参加できなくなってしまったため、当初の予定を変更し、参加者全員で山のフィールドワークを行い、その後に整備作業に移りました。

山のフィールドワーク

午前中のフォレストウォークは、藤野在住の植物博士 池竹則夫さんがガイド。

>>池竹さんの紹介記事はこちら

まずは、この現場のこれまでの経緯を説明。

江戸時代の頃、谷間に石垣を組んで棚田を作り、大雨のときに下流が氾濫しないための治水機能も備えていたとのこと。

溜池跡地の石垣(2022年2月撮影)
溜池跡地の石垣(2022年2月撮影)

昭和に入り、山の手入れを行う人が少しずつ減っていったため、棚田を止めてスギの植林を行ったそうです。(当時、スギの植林で補助金が入ったため、多くの人が至るところの山々にスギを植えていました。)

その後、手入れが行き届かなくなってしまいましたが、2010年代に藤野に住む有志の人たちにより1度環境整備が行われ、その後もいくつかの有志の人たちが間伐を行ったりして維持されてきました。

よくあるスギ林は、地上部の下草がほとんどなくなり地面が露出していますが、この現場は多くの植生があり、

「林床植生がこれだけ豊かなヒノキ植林は滅多にない(池竹さん)」ようです。

間伐して陽の光が入るようにしています
間伐して陽の光が入るようにしています

ちなみに、この斜面(↑画像)は2020年頃に間伐をして、陽の光が入る様にしました。

この隣はあえて未間伐にし、双方の植生の変化を追っています。

モミの樹
中央にあるのがモミの樹

広場の反対側に目を向けると、大きなモミの木があります。

モミの木は腐りやすいので、土葬が行われていた時代には棺桶の材料として使われていましたが、火葬になった現在はあまり利用されなくなりました。

材としての使い道はありませんが、大地にしっかり根を張るので、山を守る役割を担っています。

モミの木がある場所は沢の合流地点になっており、水と空気によるエネルギーの渦が高い場所です。

このエネルギーが高いので木がよく育ちますが、エネルギーが強いので、この木を切ってしまうと山を支えきれずに崩れてしまいます。

モミの木の根本。
モミの木の根本。ここに山神様を祀っています。

とても大事な場所であるため、山主さんは年始の山入り儀式を、このモミの木に対して行っています。

広場から竹林へ移動します。

広場から竹林へ移動

途中に『イタヤカエデ』がありました。

藤野に多く生えているようで、幹の直径が25cmを超えた樹から2月くらいに樹液を取り50倍に濃縮するとメープルシロップができるとのこと。

そしてこちらは『お茶の木』

お茶の木
お茶の木

お茶畑で見ているものは剪定されて丸い形になっており、人が手を入れないと普通の木と変わらない形になるようです。

椿科の植物で、お茶の実から『茶の実油』が採れます。

竹林に到着。

竹林もスギ林と同様に管理されていない場所が多々あり、よくある竹林では枯れた竹が倒れることもできないくらい密集した状態になっています。

竹林の状況を説明中

この現場では、定期的な間伐と、伐採した竹を焼いて炭に変え、その炭をこの山の整備に用いるかたちで資材を循環させています

竹炭には無数の穴が空いていて通気通水機能に優れています。

これを樹々の根の近くに入れてあげると、菌糸が育ち、その菌糸が樹々同士を仲介して育ちやすくなる効果があります。

各自で持参した移植ゴテを用いて表層5~10cmの点穴をあけました。

が、肝心の竹炭を持参し忘れてしまい、周囲にあった枝木で点穴の仕上げを行いました。

ちなみに、この竹林には『樫の木(アラカシ)』が生えています。

直径30cmくらいになるとどんぐりをつけ、この実は食べられます(灰汁抜きが大変)。

樫の木は藤野にある代表的な木のようです。

先ほど見たモミの木とともに、この地域に昔からある木とのこと。

ちなみに…その地域に昔からある樹を調べたいときは

神社にある大きな広葉樹を見ると良い。社寺林は、昔から伐られずに大切に守られてきた森林を代表する樹であるということ(池竹さん)」

フォレストウォークは続きます。

溜池跡地で水を溜める仕組みを説明
溜池跡地で水を溜める仕組みを説明

溜池の跡地を見て登山道へ。

ナラ枯れが進行し始めている木を観察しました。

ナラ枯れが進行し始めている木

まだ樹液を出していますが、カシノナガキクイムシの穿入跡とフラスが根元にあり、何とか持ちこたえてくれるかどうかの状況です。

登山道の途中、『クロモジ』と言われる日本のハーブが生えていました。

クロモジ
クロモジと言われる日本のハーブ

お湯に葉を浮かすとハーブティーになるとのこと。

ウォーキング中

引き続き山を登り、ちょうど正午になったので昼食を取り、朝の出発場所へ戻りました。

午後からは環境整備の作業を実施。

風の草刈りを行ったあと、先ほどナラ枯れが進行し始めている樹がある場所に移動。

斜面変換線に水脈を入れました。

斜面変換線に水脈

水脈の下流部には点穴を。

点穴

人が歩く部分は、周囲に生えていた篠竹を刻んでグランドカバーにして仕上げ。

写真だと、施工場所と歩道がわからないため、赤いラインで水脈を入れた場所を示してみました。

今回のフォレストウォーク&風森講座はこれにて終了。

怪我なく安全に終えられてよかったです。

来週末(2023年9月16日)は佐野川地区にて、風森作業DAYが開催されます。

ここ小渕の山、10・11月は作業DAYを予定しています。

日にちが決まりましたらWEBサイトやSNSでお知らせいたしますので、ぜひご参加ください。

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