10月3日㈰に開催しました『ふじの防災大作戦〜聞いてみよう隣の自主防災』当日のプレゼン内容や質疑応答、ディスカッション内容をレポートとしてまとめました。
ざっくりとまとめたレポートをご覧になりたい方はこちらをご覧ください。
タイムテーブル
13:00 〜 13:10 オープニング
13:10 〜 13:40 藤野自治会 自主防災の取り組み by 守屋自治会長
13:40 〜 14:10 芝田自治会 自主防災の取り組み by 池辺防災隊長
14:10 〜 14:15 グループディスカッション説明
14:15 〜 14:30 グループディスカッション
14:30 〜 14:40 それぞれのチームからディスカッション内容の共有
14:40 〜 14:50 クロージング
藤野自治会 自主防災の取り組み by 藤野自治会長 守屋さん
藤野地区の自治会長である、守屋さんより、藤野自治会の歴史から自主防災の取り組みまでお話頂きました。
1.藤野自治会の特徴
- 自治区エリア内470世帯ある中で、280人が参加(会員は徐々に減少中)。
- 地理的には幅1km,縦50-100mの細長い自治会であり、地理的な差が少ない。
- もともと30-40軒ほどだったのが、藤野駅ができたことで住宅が増加。新しい方が多いので、横のつながりが薄い。都会的なところがある。
- 住宅の増加で、けやき等の木の伐採、畑が減少し水が履けることが少ない。
- 防災の観点からは、横長いことで避難がしにくい、垂直避難が現実的(2階への避難等)。
- 今までは、高速、線路がストッパーになり、土砂崩れは起きにくいと思われていたが、最近になり、いくつか土砂崩れが起きた。
- 空き家の増加も火災等、災害時の懸念点。
- 上記から、自治会としては対策できる部分は少ないのが現状。復旧に関しては自治会として議会に依頼をする等の対応がある。
- 自治会への加入率が減少しており、隣に誰が住んでいるかもわからない状況。
- その解決のため、負担の少ない準会員の募集等、施策を考案中。
2.自主防災の施策例
『会員名簿内の防災情報一覧ページ』の作成
- 会員名簿を毎年作成しており、その中に防災情報一覧というページを作り、ハザードマップの藤野自治会エリアの切り抜きを掲載。
- また、緊急避難先や有事の連絡先一覧を掲載することで、何が起きた時にどこに連絡すればいいのかを可視化。
- 自分たちがどういう場所に住んでいるのか、そして有事にどうすればいいのかという情報を記載した。
- 住民のうち7割にこの情報が届いている。
- 毎年十数万円の費用を自治会費から捻出。
『防災訓練』
- 毎年、藤野中学校のグラウンドでAED、車椅子、消化器等の防災訓練を実施。
- 毎回100人程度参加。
3.質疑応答
Q:自治会内での連絡方法は?
A:自治会の中にブロック(1ブロック5世帯ほど)を作り、緊急連絡網のようにして連絡している。自治会の定例レターもある。
Q:自治会加入のメリットは?
A:自治会加入のメリットは防災情報、弁護士相談、割引券等だが、訴求が難しい。
Q:要支援者への対応は?
A:藤野自治会は要支援者への対応はできていないのが現状。
芝田自治会 自主防災の取り組み by 芝田自治会防災隊長 池辺さん
「ご自宅兼オフィスのため芝田地区所在時間が長いだろう」という理由で防災隊長に任命された、移住者である池辺さんに、芝田地区でのアイデア溢れる自主防災の取り組みについてお話し頂きました。
1.芝田自治会の特徴
- 60世帯と藤野自治会と比較すると小さい自治会。
- 北側に山(石山)を背負っており、南にはダムを擁する。そのため、最も怖い災害は土砂崩れ。
- 自主防災隊があることで、行政から定期的に防災備蓄品が提供されるという理由で防災隊が存続していたが、近年各種施策を開始。
- 自治会に入っていない方も自主防災には加入。防災費1,000円を徴収。
2.自主防災の施策例
- いざという時の井戸水の確保のため、地域に4つある水の水質検査を実施。結果、沸かせば飲食に使えるということが判明。
- 医療関係者のリストを作成。
- 危険箇所マップの作成。危険箇所を一個一個確認してまわり、地図上に落とし込む作業を行った。
- 今までの災害時に増水した箇所等、住民の経験から危険箇所をリストアップした。
- 安否確認のためのグルーピングを実施、近所のグループを作成、リーダーを任命した。災害時にはリーダーが各メンバーの安否を確認し、隊長に報告。
- メーリスを作成し、地震災害、風水災害と災害の状況に合わせて情報共有に活用。
- 危険箇所に近い世帯にアラートのお願いをしている。
グループディスカッション
Zoomのブレイクアウトルームという機能を使い、守屋さんチームと池辺さんチームの二手に分かれてグループディスカッションを実施しました。これまでのお話の中から課題と思われる下記テーマの中から、藤野地区の守屋さんチームは『自治会に入っていないひと(移住者や退会者)への防災活動の巻き込み』を、名倉地区の池辺さんチームは『いざというときの情報共有(自治会横断したもの)』を議論しました。
藤野地区 守屋さんチーム
テーマ『自治会に入っていない人への防災活動の巻き込み』
- 守屋さん
自治会に入ってもらいたい。要支援者協定も検討。
藤野は横長:すぐ行けるわけではない、いくつかのブロックに分けてまとめて強化。
藤野はアパートが多く移動者多い。
藤野は地域によって変わる。
準会員:「活動負荷低い年配者用」を押し出していく。 - Aさん
篠原は移住してすぐに会長から自治会案内ある。
電話番号共有している。 - Bさん
元は自治会→移住→戻ってきてからは未加入。
また移住するかもなので、自治会入るメリットがなかった。負担もついてくる(お祭り当番など)。
防災部、防災分科会などがあると入りやすい。
防災と自治会はセットでなくていいのでは? - Cさん
自治会加入案内はなかった。アパートのオーナーに一任されている?
移住者は自治会の情報が入りにくい。
転入時に案内が得られるといい。 - Dさん
中央区淵野辺は18世帯中2世帯の加入、子供会は半分以上。
防災用の別ネットワークがあってもいい。
自治会ハードルは高い。 - Eさん
杉地区の周囲の世帯は当たり前のように自治会に入っている。
移住してすぐに自治会の加入案内が来た。
池辺さんチーム
テーマ『自治会横断の情報共有』
- 現状:情報が共有できる機会がない。
- 課題:いざとなった時に連携できる機能があったほうがいい
- 日頃の関係性と日々のコミュニケーションがあることで、いざという時の連携に繋がる。
- 防災取り組みの情報共有の場があるといい 自治会長同士の顔合わせ、情報共有のみでなく、自治会員 同士 も交流できる機会が必要。
- 自治会の仕組みをすぐ変えるのはハードルが高い。自治会横断の防災組織を立ち上げたり、他の仕組みを活用しながら発信する(萬等)という案もあるが、 地元の方も移住者もいる場であるべき、自治会のメリットを失う等の懸念があるため、やはり、自治会の枠組みを活用した施策ができるといい。
→各自治会に防災広報担当を分け、自治会同士の防災のネ ットワークをつくるという施策が現実的。
各チーム発表後の議論にて
両チームからの発表を受けて、下記のような意見もでました。
- これからの自治会のあり方のようなもの。自主防災を主眼において、自治会のあり方を模索していく必要がある。
- 芝田で実践している防災マップを藤野全部に作ってみるワークショップをするのはどうか。
- 各地区のマップを実際に歩きながら作るのもいいかも。
まとめ(後記)
今回のふじの防災大作戦を進めていく中で出たテーマは、
1. 自治会に入っていない住民をどう巻き込むか
2. 自治会横断の情報共有、連携をどう進めていくか
の2つでした。
議論を進めていく中で、自主防災の課題は現在の自治会自体の課題でもあることが浮き彫りになってきました。自治会員をどう増やすかという点も大きな課題です。これからの自治会のあり方を模索するために、住民にとって誰しもが直面する課題、”防災”について考えていくことが必要なのではという意見も。
各自治会で状況は違えど、今回各自治会に紹介頂いた施策は、他の自治会でも横展開できるようなものもあり、まずはこれやってみようという気概も今回のイベントにより生まれました。
このように、各自治会の防災について情報共有して切磋琢磨していく状況を作るためにも、場(イベント)や機能(各自治体に防災広報担当を設置)の設定が必要なのだと感じました。
今後の『ふじの防災大作戦』が楽しみです!
まずは、危険箇所マップの策定ワークショップの開催、また、聞いてみよう隣の自主防災vol.2 といったところでしょうか。